弾丸霊場ツーリスト
ここ数年、年に2,3回京都に行くことがあった。本来の予定は大坂だったり、奈良だったり、尼崎だったりしたのだが、前乗りで京都に入ってブラブラして一泊し、早朝現地に向かっていた。はじめはただブラブラ歩くだけだったが、テーマを決めて回り始めた。定番の神社仏閣巡りに始まり、パン屋巡り、カフェ巡り‥。
次のテーマを探している時に、京都を中心におみくじの一形態として売られている「ゆるみくじ」なるものを見つけてしまう。くすぶっていたコレクション魂に火がついたのと、土産で買って帰るとカミさんが想像以上に気に入っていたので京都に行くたびに神社仏閣を回って合計数十個ほど購入した。
たまたま立ち寄った因幡薬師で十二支みくじを購入した際に十二薬師霊場巡礼のチラシが目にとまった。『霊場巡りって、四国八十八ケ所以外にもあるのか?』
しかし、御朱印のコレクションには実はこれまでそれほど食指が伸びなかった。弘法大師所縁の四国八十八ケ所巡りはまだ納得できるのだが、宗派の違う寺社を回ることの意味がよくわからなかった。自分が日本人の大半を占める(と思われる)ナンチャッテ仏教徒であり、宗教に疎いこともある。そこで、御朱印や巡礼について、また宗教についても調べた。
『スタンプラリーとどこが違うの?』『御朱印帳ってコンプリートしたらどうするの?』『そもそもどこから始まったの?』疑問だらけである。
勝手な想像としては、囲い込みを目的としたスタンプラリーに対して、観音巡礼は地域の活性化をにらんだ活動に思われる。たかだか一枚300円の雑収入のために一日客を待っているとは思えない。しかし5分で300円、1時間に5人参拝客対応をしたとして時給1500円、8時間で12000円、土日だけで24000円、x4で月100,000ほど。‥微妙。
仏教を、ビジネスの面から勝手に考えると、結構面白い。
いわゆる商売が、右から左へ商品を流して行く間や、仲卸が中間マージンをとって利益を得ていくところからスタートして、近年になって目的と手段を検討するようになり、ビジネスプランという言葉も良く耳するようになった。
しかし、宗教では古くからビジネスプランとして目的と手段を明確にした上でスタートしてきたように感じる。
そもそも仏教そのものが国を越えた布教のために手を替え品を替え、新しいもの(サブカルチャーを含む)を取り入れて分派を繰り返し、存続し続けていることが所以かもしれない。
お賽銭や物品販売
檀家制度
法事等の営業活動
祭り等のイベント事業
外部イベントのための場所の賃貸
仏像、宝物の展示場運営
精進料理に始まるレストラン、カフェ等の運営
寺子屋に始まる教育施設運営
に加え、御朱印等のスタンプラリーである。
結構な多角経営フランチャイズ企業だったりする。(ところもある)
決して批判的には思っていないし批判的に考えないで欲しいなぁと思う。間口が広いんだなぁと思っている。基本的なルールさえ守れば誰でも受け入れてくれるんだなぁと。地域の繁栄あってのいち企業としての寺の存続というのがすべての活動の基本コンセプトになっているように思う。流行に合わせてサブカルチャー(漫画やアニメ、ロック調の読経など)を取り込むのも不自然ではないことに思われる。仏教と歌舞伎はよく似ているのかもしれない。
であれば、自転車による弾丸御朱印ツアーなんてのも許されるんだろうなぁとこれまた勝手に解釈してしまおう。というわけで、プランニングしはじめた。
まず近くでまわれる手頃な距離の巡礼を探してみた。すると『○○巡礼』は各地に新旧含めて驚くほど数がある。まずは秩父34観音巡礼をターゲットと決めて、とりあえず走ってみないとわからないことも多いので 『弾丸霊場ツーリスト』として 土日で走ってみることにする。